藤原帰一, 大芝亮, 山田哲也 著の『平和構築・入門』有斐閣(2011)第1部「平和を脅かすもの」所収の佐渡紀子 著、第3章「拡散する核兵器」を読む機会があったので、まとめながら読もうと思う。
もし本書を読もうとしている人がいたら参考になるかもしれないが、私は自分なりに咀嚼して雑多な文章にまとめているだけなので、著者の真意を正しく理解するには実際に本を読まれることを強くお薦めする。これは自分のための備忘録である。
第3章「拡散する核兵器」を読んで。
〇核兵器の拡大
核兵器は世界に2万発存在する この核兵器の拡散の背景には抑止力への期待がある
核兵器による反撃の意思と能力があることを表明することで核抑止が機能
→核の仕様を想定した核兵器による抑止力への期待は核兵器の拡大(核拡散)を促進する。
・しかし、キューバ危機によって核兵器の使用が検討されうることも示された
⇒核兵器は決して使用されないとは言い切れない
〇核テロへの懸念
・管理の不十分な核関連施設の存在
←冷戦後の軍縮、ソ連解体後の市場主義導入による経済の不安定化
・核の闇市場の存在;リビア、イラン、北朝鮮へ核関連技術が流出している事実
〇地域的な核問題
・イランの核保有は中東地域における安全保障問題が解決しにくくなる
〇核拡散の歴史と連鎖
・アメリカのWWIIでの使用が初 ←ドイツ軍との核開発競争が誘発
・米ソ冷戦による核拡大(英、仏、中の核開発の促進)
・中国の核開発に誘発されたインド、パキスタン
〇核拡散防止に向けた取り組み
・NPT(核不拡散条約):米ソ英仏中以外の締約国に核兵器開発・保有を認めない
原子力の平和利用の権利を認められる
・非核兵器地帯の設置
・CTBT(包括的核実験禁止条約):新たな核兵器国の出現を防止することを目指す
〇核軍縮の進展
・冷戦を経て増加した核弾頭数は冷戦終結後に減少した
←安全保障環境の改善・核保有必要性の低下、国際的な批判
・START(戦略兵器削減交渉)
〇課題
・安全保障環境改善によって核軍縮が進められる中、新たな脅威や核テロという危機
・核兵器の全廃は南アフリカのみ ←欧米では同盟関係の象徴として政治的な意味を持つ
・核兵器の有用性という議論←多様化する脅威に対する核抑止の必要性
以下、読んで感じたこと。
核兵器も前章のテロリズムに同じく、拡大した原因は様々で、一貫した解決策はなく、対症療法的な手法で議論するしかなさそう。いっせーのーせで核兵器を全員で廃棄しようとしたところで、誰かが廃棄しなかったり、結局またつくったりするのではないかという嫌疑が、核軍縮を防いでいるのかなと思った。他人を信じられる世の中って大事。それは犯罪を起きにくくする近所づきあいみたいなものなのかな。