アンダーグラウンド・ハイドアウト

やりたいことをのびのびこそこそと

「完璧に最初の一歩を踏み出すことは不可能である」

 ブログを始める。

 

 最初の記事を投稿するまで、思っていたより時間がかかってしまったが、ブログを書こうと長らく考えていた。

 

 その理由として、自分の存在している証拠を残せる場が欲しかったことが大きい。メルヘンチックにとらえられたくはないが、文字通り自分の生きていたことを何かしら残すことで自分の存在は永遠になるのだ。

 

 ハンナ=アーレントの『人間の条件』を読んで、生と死を繰り返すことで不死の循環をもつ自然の中に、突如生まれやがて死にゆくひとりの人間は、その対置から永遠性を獲得しようとする、みたいなことを学んだ。みずからの永遠性を獲得するために古代ギリシアの人々は彫刻を多く残すことを重要視したり、自分の生活の営みに終始するのではなく命の危険を冒して政治をおこなったりしたのだ、みたいなことを言っていた気がする。

 

 アーレントはよく高校の倫理で「人間の活動力activityを労働labor・仕事work・活動actionの3つに分けた人」として紹介される。その「労働」は日々の生活の営みに要する活動力のことで、最近この「労働」に自分が支配されている気がしてならなかったのだ。これは一人暮らしを始めてからずっと付きまとってきた悩みだった。そして自分が「労働」ばかりしているという悩み、そして「仕事」が「自分の名前をこの世に残す活動力」だみたいなこと(ちなみに「活動」は私的領域と公的領域の差がなくなり政治的な活動を行うことができなくなった現代では不可能だ、みたいな感じ)を学んだとき、「これだ!」と思ったのだ。これがブログ開設の直接的な動機である。

 

 「なにかをつくり残す」という活動の重要さを、ここ最近ひしひしと感じていた。というのもこの文章を書いているのは新型コロナウィルスによるさまざまな行動が制限されるようになった時期であり、自分も例にもれず卒業式や入学式、サークルの卒業ライブや友人との別れなど、大事なイベントがつぶされてしまったからだ。

 

 ともかく「なにかをつくり残す」作業をその重要さに駆られて最近いろいろやってきたつもりである。サークルのスタジオライブを撮影して映像に残したり、ラーメンズのクイズを作成したり。サークルの卒業ライブに関してはまたいずれ書こう。

 そしてその一環として、このブログ開設である。

 

 このブログでこれから書きたいと考えていることは、いくつかあるのでここに宣言しておく。

・簡単な読書の記録

・英語文章の翻訳・紹介

・洋楽の歌詞の翻訳

・曲のコード分析(耳コピ

・思ったこと考えること

 

 なにごとも忘れやすい自分が忘れないために記す備忘録的なものもあれば、他人のために書くようなものもあるが、とにかく「つくり残す」ことを重点に、プロダクティブにいけたらいいなと思う。続かなかったらそれはそれだ。労働に屈したくはない!

 

 最後に、今回のブログを開設するにあたって僕に勇気をくれた同期の友人の記事のリンクを貼っておこう。このエントリのタイトルもその記事から引用した。フィリップありがとう。

 

philippekhin.com